「お金が無くなってからもう一度来て下さい」
福祉事務所でこう言われ、「一円も無くならないと生活保護は受けられないのですか」という相談が非常に多い。
しかしこれは明確な間違いで、生活保護の実施要領でも「半月分の最低生活費」までについては資産保有が認められている。
生活保護の申請後、福祉事務所は14日以内に決定を出さなければならないので、「半月分の最低生活費」というのはこれに対応したものだろう。
しかし、実際は審査に30日近くかかる場合が多い。原則であるの14日以内に決まる方が少ないぐらいだ。
では、無一文になってから最高16日もの期間をどうやって生活しろと言うのか?誰でも疑問に思うだろう。16日も飲まず食わずでは餓死しても不思議ではない。しかしこれが冷厳な現実なのだ。
この対策として、確かに多くの自治体で食料の現物支給などは行っているし、家もない場合は緊急一時宿泊所を設け、2食程度の食事を提供しているところもあるが全てではない。
又、生活保護申請の段階で既に「無一文」「所持金数円」という場合も稀ではない。こういう場合、社会福祉協議会が窓口となって、「緊急小口資金」という制度があり最高10万円まで無利子・無担保で貸し付けてくれる。しかしこれも審査に1週から10日程度かかり、その間は無一文ということになる。
以前はこういう場合に、駆け込み資金の制度があり、生活保護を申請すると保護開始までの間の生活費に5万円程度はその日の内に貸してくれたものだが、今はその制度も無くなっているようだ。
一方ではびこっているのはサラ金だ。ネットで緊急貸付を検索すると、SMBCモビット、プロミス、au walletカード キャッシングなど消費者ローンの宣伝ばかり。「お申し込み完了日の翌金融機関営業日の正午以降にお振込可能」「21時までのWEB申込で最短30分融資可能!」「最短即日融資」等々のうたい文句が並ぶが、金利は最高18%前後になるが、当座食べていくためには手を出す人も多いだろう。
これも公的な緊急融資の不足が原因だ。せめてサラ金に負けないように、無担保・無保証人の公的な緊急融資=「最短即日融資」「最短30分融資可能!」が実現できないモノだろうか?