派遣労働者が所謂「派遣切り」に遇い、仕事、収入、住居の3つを同時に失うケースがコロナ渦の中で頻出しています。今日も東北地方の方から「住む所失いました。どうかたすけてください」との緊急SOSが入った。
派遣会社から「明日からいらない」と言われたら、その日に仕事も住居も失うというのはあまりに不合理だが、そんなことが許されるのだろうか?
解雇については労働契約法で、登録型派遣のような、有期労働契約の場には、やむを得ない事由がある場合でなければ、契約期間中に解雇することできないことになっている。
やむなく解雇する場合でも、解雇は少なくとも30日前までの予告が必要で、予告を行わない場合には、解雇までの日数に応じて解雇予告手当を支払う必要がある。
しかし、誰もそんなお金ももらわず、無一文で解雇される場合がほとんど。
又、働なくなったからと言って、住む権利が無くなるわけではない。派遣契約(労働契約)と居住権(借地借家法)とは、まったく別だからだ。借地借家法26条は、解約の申入れは「正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。」と定められている。会社を首になったからと言って、それが退去を求める「正当な理由」とならないのは当然だ。
しかしながら、派遣契約のときに退職と同時に家(寮)を退去するという契約を結んでいるため、多くの場合、派遣切り=家を失うという結果になってしまうのだ。
派遣切りをされた人で多いのはリーマンショック直後の就職氷河期に就職した人だ。このときから労働法制の「規制緩和」によって非正規労働が急速に増え、正社員が当たり前で無くなった。大学を出て一時は「正社員」として働いた人も、様々な理由で退職するなど、「正規雇用」の線路を外れた人は二度と戻ることができず、短期の非正規労働を繰り返し、今回のコロナ渦で派遣切りに遇ってしまったという人が非常に多い。
せめて企業が法律を守りさえすればこんな不合理なことは起きないのだろうが、悪徳企業は「番犬」のような「顧問弁護士」を雇って、こんな無法をごり押ししているのだろう。
せめて、こうした犠牲者を救うところが必要だ。ところがこうした犠牲者をさえ「食い物」にする怪しげなNPO、貧困ビジネスが野放しにされている。こうした者の「甘い言葉」にダメされやすいのも彼らの特徴だ。
今日もSOS電話に飛びついている、岡行政書士事務所であります。