私たちの望むものは 生きる苦しみではなく
私たちの望むものは 生きる喜びなのだ
今ある不幸に とどまってはならない
まだ見ぬ幸せに 今跳び立つのだ
生活保護申請書を書くために、依頼者の人たちから出生から今に至る生い立ち、経歴を聞かせてもらうことにしている。
そのときいつも頭の中で流れているのは、岡林信康さんのこの曲だ。
ネットで岡行政書士事務所を探して相談してくる依頼者がほとんどなので、スマホが使える若い人達が多い。「何故若いのに生活保護か?」と思う人も多いだろうが、それなりの理由があるのだ。決して彼らは怠け者でも働くのいやな人でも無い。
ほとんどが「不幸な幼少期」を過ごしている。
親からの虐待、暴力、生まれて直ぐに遺棄されて施設で育ち、親の顔も名前さえ知らない相談者も稀では無い。
そういう境遇だから、学校でも虐めに遭う。ゆっくり勉強できる環境にはほど遠く、学力がつくはずもない。中卒で社会に出るか、高校に入っても所謂「底辺高」が多い。卒業する者もいるが中退も多い。
卒業後正社員として採用されても「ブラック企業」がほとんどで数ヶ月で辞めているケースが多い。
ブラック企業故に離職が多いので常に「正社員募集」の広告を打っている。
一度正社員の道から離れると「派遣」「日雇い」しか働く道はない。
派遣切りよりも仕事が無くなったり、派遣先の理不尽さ、派遣先「社員さん」の虐め、パワハラに耐えかねて辞めていくケースが多い。寮付きの仕事は、仕事を辞めた途端に「家無し」となる。
お金の続く間はネット喫茶、漫画喫茶で「寮付きの仕事」を探して電話するのだが、中々採用まで行かない。お金もつき財布に中に数百円しか無くなって、岡行政書士事務所に相談してくるのがほとんどのパターンだ。
話を聞いているといままで「生きる苦しみ」しか味わってこなかったのか?と思う場合が多い。
せめて何かの縁で繋がったのだから、住む家を確保し、安定した仕事が見つかるまで、生活保護の申請を代行する。しかし仕事はそれで終わりではない。仕事の目標は「まだ見ぬ幸せに跳び立つ」援助だと思う。
そう、以前はあった「幸せ」では無い。いままでそんなものは無かった。「まだ見ぬ幸せ」を獲得するのが目標だ。
最後はいつも「幸せになるまで援助するので、いつでも連絡してきてね」と声をかける。
ええ格好している訳でも建前でもない。これまでも今もこれからもそう思い続けるだろうと思う。