生活保護に関する最近の相談で、生活保護を受けたい方からの相談と共にすでに受給中の方からの相談が多くあります。
生活保護費の範囲内では生活できず、住宅扶助(家賃部分)を生活費に流用してしまい、家賃滞納で強制退去になるケースも多いです。
また、生活保護費だけでは足りないためにキャッシュカードで買い物をして支払いができなくなり、借金をすると収入とみなされて生活保護が廃止され、さらに困窮するという相談も増えています。
 現在の生活保護費が憲法25条が保障する「最低限度の文化的生活」を本当に保障しているのかについては、司法判断が分かれています。
2013年から15年にかけて国が行った生活保護費の最大10%引き下げに対して、全国で訴訟が起こされており、多くの裁判で国側が敗訴しています。具体的には、29の地方裁判所で31件の訴訟が行われ、そのうち19件の地裁判決が減額を違法とし、高裁判決では12件中7件が違法とされています。
一方で、生活保護と年金生活者の生活を比較すれば、大阪市の調査によれば、国民年金の最高限度額と現行の生活保護の水準を比較した場合、生活保護受給者は医療費・保険料・介護費用がすべて無料であるため、実質的には国民年金受給者の約2倍の生活水準になるという報告もあります。
40年間保険料を払い続けた人よりも、全く払わずに生活保護を受けている人の方が生活水準が高いのは不平等だという意見もあるでしょう。
しかしながら現行の生活保護費では最低限度の文化的生活が保障できないという事実があり、この問題の解決が急務であることは否定出来ないのではないでしょうか。